コーチングにおけるコーチ像について、わかりやすく説明するには前回のように、普段私たちの身近にある存在と比較することが良いのではないかと思い、今回もそのような流れで「コーチと友人の違い」について説明をしていきたいと思います。

ここに転職を考えているAさんがいるとします。 Aさんが転職を考えたのは、社内での人間関係に嫌気がさしてきたことと、このままこの仕事を続けても、明るい未来は待っていないと思ったからです。
Aさんは信頼している友人と専任のコーチに転職について相談してみました。

友人に相談してみると、いつの間にか今の仕事や会社に対する愚痴のオンパレードになってしまいました。 自分の中で随分とストレスや不満が溜まっていたことに気づき、気分は幾分スッキリとはしましたが、結局何の答えもみつけられませんでした。
→ 友人に話をする前とまだ同じ位置(地点)にいます。

Aさんの気持ち：確かに友人に話をしたことによって気持ちはラクになった。けれども、状況は何もかわらない。

次にコーチに相談してみました。 友人に話をしたのと同じように愚痴を言い始めると、頃合いの良いところでコーチに「ところで本気で転職をする気はありますか？」と聞かれました。
なかなか厳しくてキツイ一言ではありましたが、そこでやっとAさんは転職について面と向おうという姿勢になりました。
→ ようやく本当の意味でのスタート地点に着くことができました。

Aさんの気持ち：コーチの一言には正直ドキッとした。自分は本当に転職がしたいのだろうか？単に愚痴を聞いてもらってスッキリしたいだけだったのだろうか？

単に愚痴を聞いてもらいたいだけなら、コーチよりも友人の方が良いでしょう。 友人は自分のことのようにあなたに同情してくれますし、できる限りの言葉を使ってあなたを励ましてくれます。
しかし本当に転職をしようと決意したのなら、友人よりもコーチの方があなたの力になってくれるはずです。 コーチはあなたに多くの質問を投げかけ、あなたは多くの気づきを得ることができます。もしかしたら、転職をしようと思った本当の理由が、もっと別のところにあったということに、気がつくかもしれません。

気づくという作業はなかなか一人では大変なことです。 コーチがいなくても、最終的にはその気づきにたどり着くことはできるでしょう。 しかし、そこにたどり着くまでに要する時間には大きな差があります。 コーチの使命は「効率よく目的に到達するためのサポートをする」ですので、あなたのゲーム※を指摘し、本当に目を向けるべきことに気づかせてくれます。

さて、ここで「ゲーム」という言葉が出てきました。 ここで使われるゲームという言葉は、普段良く使われるゲームとは違います。 と、言うことで、次回は「ゲーム」についてお話をしたいと思います。